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東新宿に建つ築50年の「金沢浴場」を、「黄金湯 新宿店」としてリニューアルする改修計画である。 古い建物と新しい建物が混在し、異なる時代のレイヤーが重なり合う東新宿。半世紀にわたり人々の記憶を蓄積してきた金沢浴場の中にも同様の「時代の重なり」が存在すると考え、それを今回の改修の核とした。かつての記憶を色濃く残す象徴的なモザイクタイル画や、曲面天井といった「過去の断片」を注意深くすくい上げ、そこに現代の機能と意匠という新たなレイヤーを重ねていく。新しさと懐かしさが心地よく同居する、街の新たな拠り所となる空間を目指した。
街と銭湯を繋ぐ番台エリアは、元々コインランドリーと事務所として使われていた場所である。かつての銭湯の入口スペースを植栽を配した中庭へと作り変え、そこを囲むように円形の島型カウンターを配置。銭湯の受付機能と湯上りのバー機能を一体化させた。番台カウンターの上部には、新宿のネオン街から着想を得た、様々な色に変化する演色性のある間接照明を仕込み、新宿らしさを演出する仕掛けを施している。
浴場は、既存のモザイクタイル画や円柱の菱形タイルなど「残すタイルの色味」を基準に、新たに使用するタイルのトーンを検討し、モスグリーンのタイルと左官材を調和させた。また、現代のニーズに合わせて浴槽の広さを拡張し、カランの数を増やすなど、空間構成を大きく更新している。 金沢浴場時代からの象徴であるモザイクタイル画は、クラック補修や汚れ落としを行い、一部剥がれた箇所はAIを活用して絵を復元した。さらに、モザイクタイル画から周囲の壁面や天井へと靄のように溶け込むグラデーション塗装を施すことで、新旧の素材が違和感なく共存する表現としている。改修前の切妻型バスパネル天井も、創建当初の美しい曲面形状の天井へと復元し、周囲の壁面からのアッパー照明で柔らかく照らし出す計画とした。
浴場の奥から続くサウナエリアは、浴場の鶯色と補色関係になる薄レンガ色の洗い出しと左官材で構成し、空間の質を劇的に切り替えた。元はバックスペースであった限られた場所に男女それぞれのサウナ室、休憩スペース、水風呂を確保するため、有機的な平面形状を採用して空間を余すことなく活用している。男湯サウナは壁面に溶岩石を使用した蓄熱性の高いオートロウリュ式、女湯サウナは丸みをもたせた優しい形状のセルフロウリュ式とし、男湯側には元々受水槽が置かれていたスペースを活かした外気浴スペースも新設した。 昔からあるものをすべて刷新するのではなく、既存の価値を最大限に活かし、そこに新たな価値をどう付け加えていくかを重視した設計である。場所ごとのシーンの切り替わりと新旧共存のストーリーを通じ、東新宿の「多層性」を空間に体現した。浴場の記憶を次世代へと継承し、黄金湯新宿店が新たな街の拠り所として愛されることを期待している。

黄金湯 新宿店

Architecture

Date
2024.05-2026.06
For
public bathhouse
At

東京都,新宿区

Size
334㎡
Status
Completed

Staff

Direction
永山祐子
横田英雄
高以良陽太
Build
秀建 / 栗原内装 / 八和田設備工業 / U.スペック
Structural Design
yAt構造設計事務所
Lighting Plan
岡安泉照明設計事務所 / Modulex(番台)
Client
新保浴場
Branding
高橋理子
MEP Design
ピロティ
Sound Plan
WHITELIGHT
Photo
OMOTE Nobutada
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