株式会社CACL(以下CACL)、株式会社LIXIL(以下LIXIL)、有限会社永山祐子建築設計(以下永山祐子建築設計)の3社は、令和6年能登半島地震で倒壊した家屋に使用されていた黒瓦を建材へアップサイクルし、新たに建築物へ使用するための共同プロジェクトを2025年9月1日に発足しました。

■プロジェクト概要
本プロジェクトは、能登半島地震で全壊・半壊した家屋に使用されていた「黒瓦」を廃棄するのではなく、「創造的復興」のシンボルとみなし、建材へアップサイクルすることで、能登の想いや記憶を未来へとつなぐ包括的な取り組みです。
現在、能登半島地震で全壊半壊した家屋は公費解体※により、解体業者によって分別され、地域集積場を経由し全国の処分場で廃棄されています。今回は、瓦に着目し石川県内の関係者をコーディネートするCACL、資源の循環利用を促進しながらさまざまな建材技術を持つLIXIL、この2社を繋げて企画発案を行い、デザインから建築への使われ方まで監修する永山祐子建築設計の3社が、それぞれの強みを活かし、公費解体された家屋に使用されていた「黒瓦」を新たな建材としてアップサイクルするための座組を確立しました。
具体的には、公費解体時に回収された黒瓦を指定業者の粉砕を経てCACLが購入・保管し、有価物へと転換。その有価物を、永山祐子建築設計のデザイン監修と、LIXILの技術によって、試行錯誤しながら黒瓦の風合いが残る形で建材を開発しました。その後、永山祐子建築設計をはじめ、多くの建築家、デザイナーにより、この建材が建築物やインテリアなど、さまざまな形でアウトプットされることを目指します。

■背景
「誰かが決めた『境界線』を超えて、新しい価値を見出す」ことを目指し、活動してきたCACL代表の奥山純一氏。震災直後から現地で復興支援を続けてきた奥山氏が「黒瓦」と出会い、黒くて重厚感のある瓦そのものの表面の色と、割れた断面から見えたオレンジ色の対比の美しさに惹かれ、地域の想いや記憶を未来へと繋ぐ創造的復興のシンボルにできないかと考えたことから本プロジェクトは始まりました。

■マテリアル詳細
黒瓦を破片に粉砕したものを、自然由来の素材を意匠として活用したLIXIL独自の意匠建材「textone」の原材料に使用し、能登瓦仕様として開発。この素材は、黒瓦の表面の黒くて強いイメージとは異なる、素材そのもののオレンジ色を生かした、とても柔らかくて優しい色味が特長。ある程度の粒感が残るtextone独自の技術だからこそ、能登の黒瓦の風景が目に見える形で生かすことができます。
この想いを、これまで建材のアップサイクルという課題に取り組んできた永山祐子建築設計がうけとり、同じ課題を模索してきたLIXILへ繋ぎました。「黒瓦」を創造的復興のシンボルとして再生するというビジョンで3社がつながり、珠洲市の協力が得られたことで、プロジェクトが実現しました。

■今後について
本プロジェクトでは、すでに実験的なマテリアル製造を始めています。今後は、具体的な建築などへのアップサイクルを目指し、特に地域へ還元するためのパートナー企業様と協働していきたいと考えています。
