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建築を考えるときに物質としてそこに存在する床、壁、天井といった建築を構成する要素以外に、触れられる形で存在してはいないけれど、確かにそこに在る” 現象” を建築に取り入れることで、三次元物質世界の建築の枠を超えられるのではないかと考えている。
いま、自分がいる周りの空間と、そこにパラレルに流れている時間に想いをはせることがある。確かにそこに在りそうな予感はあるけれど、この手では掴めないこの二つの要素は、私にとって建築を考えるときに気にかかる要素だ。
「LOUIS VUITTON 大丸京都店」と「豊島横尾館」はもっともわかりやすい形で” 現象” を扱った作品だ。「LOUIS VUITTON 大丸京都店」では、光学フィルムの偏光板を使って、光と闇によって実際にそこには存在しない縦格子を” 現象” としてつくり出した。訪れた人はそこに確かに何かが在ると感じられるのだが、物質としては存在しない。実際にそこに在るかどうかは重要ではなく、人がそこに在ると感じるインタラクティブな関係が重要なのだ。
「豊島横尾館」では、赤いガラスによって、横尾忠則氏の絵の特徴でもある色を消して見せた。見えているものから情報を少し差し引くと、在ったものが消えていることに意識が向く。物質的な制限を超えるため、在ることの不確かさをつくり出すのが” 現象” だ。
一方、「丘のある家」では、室内に光を引き込むレフ板として大屋根がある。この大屋根はこの家で純粋でもっとも大きなスペースをもつ白い平面として存在している。住宅はどこのスペースも誰かの場所となるが、この大屋根だけは誰も占有することはできない。そもそも世の中には誰のものでもない純粋な場所は少ない。ドラえもんが2 階の窓を開け、タケコプターを頭に乗せて飛び出す世界は、住宅の屋根の広がる景色。普段私たちの生活の頭上に広がるこの屋根の風景は誰のものでもない。だからあの瞬間、自由を感じるのだ。
OZONE リビングデザインギャラリーで行われた展覧会「届かない場所」では、会場を大きな布で覆い、布の上に花畑をつくり、花一本ずつを布に貫通させて下にテグスで錘おもりをつけ、バランスで立たせた。布に覆われた下の世界に入ると、錘しか見えない。上を見上げると花の影だけが見えて上の花畑を想像させる。錘を手に取ると上の花は均衡を失ってパタっと倒れ、倒れた花の色が布を透かしてほんのり見えるという仕掛け。
自分のいる空間(時間)/自分がいない空間(時間)。私たちが住む世界はこの二つにはっきり分けられる。でもこの二つが微妙に近づいたり離れたりする状況を、建築はつくることができる。予感、余韻、人間の感情を揺さぶる要素として、” 現象” を考えている。

「確かにありそうなもの」永山祐子個展

Architecture

Date
2025.9
For
exhibition
At

東京都,新宿区,AWASE gallery

Status
Completed

Staff

Direction
永山祐子
松井陸
関健太
中嶋美来
江頭古都奈
伊東知夏
AWASEgallery
Cooperation
グラフィック社、集英社、モリトアパレル、ナレッジビート、YAMAGIWA、インテリアズ、能作、UNION、LIXIL
Client
AWASE gallery
Video work
Takamitsu Miyagawa 、ARCHI CAPTURE
Photographic work
Daici Ano、OMOTE Nobutada、Satoshi Takae、新建築写真部 他
Photo
kenta seki
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